【第124号】進路指導室の苦い思い出

「高校の進路指導室」も時代によって大きく変わる。

私の在学時、深志に進路指導室というものはなかった。

どこの高校でも当たり前の存在になったのはいつごろだったのか?

25年ほど前に深志の進路指導室を訪ねて、門前払いをされたことがある。

経営する服飾専門学校の営業として、学校案内に行ったのだった。

入り口でドアを少しだけ開けて、担当教師が「専門学校はお断りしています」と言った。「あの、同窓生でもありますし、少しだけ・・・」と言っても取りあってはくれなかった。

「忙しいので・・」と断られたのなら納得した。私も予約なしの来客は困るからだ。それを「専門学校は・・」というのは腑に落ちない。学校差別、学歴差別ではないか?こんな校風だったか?とくやしいより悲しくなった。

おそらく今はすでに、進路指導室離れの時代ではあろう。大学数も種類も増えすぎて、教師の指導は偏る。それよりも自分でいくらでも情報収集できる。でもあの頃は、進路担当の情報源は少なく、貴重なはずだった。現に、深志生からの問い合わせも入学者もいた。

私の時代には、本を読んで感銘を受けて、その著者である大学長に会いに行ったら、「入学しなさい」と言われた友人がいた。そんな「一人と一人の関係」を生かせなくては、教育などできるのか?と疑問を抱いてしまう。

50年前の先生たちは、「上から目線」がまるでない人がほとんどだった。懐かしくよい時代だった。

筆者紹介 : 太田 正子