【第227号】成人

 4月1日から成人年齢が18歳に引下げられた。明治以来のことのようだ。遠い昔の記憶を辿ってみると成人式に出た記憶はあるが、さして特別なことではなかったような気がする。どちらかと言えば、18歳以下お断りの看板に疑問を感じこと方が重要であった。
 成人年齢が引下げられたと言っても飲酒と喫煙、公営ギャンブルは20歳以上のようだが、18歳19歳の若者の自己決定権を尊重し、積極的な社会参加を促す狙いがあるらしい。その背景には諸外国と足並みを揃えることがあるようだが、労働人口の減少を背景に労働人口の拡大を狙っているとしか思えない。そう考えると、今後国民年金保険料の負担がどうなるか気掛かりでならない。現行法では20歳からで良いようだが、今後どうなるか心配でならない。
 かつて、義務教育を終え高校に進学したころ盛んに言われたのは、「自分の頭で考えろ」であった。中学卒業後就職した人もいたし高校卒業後就職した人もいた。人によってさまざまな人生がある。早く社会人になる人もいれば、ゆっくり歩みを進めている人もいる。年齢という一つのスケールで人の一生を決めるのには無理があるような気がする。むしろ、若者の自己決定権はかつてより進化しているし、社会参加の意欲は増している気がする。法律ではなく大人が若者の声を聞き若者の行動に目を向けることが社会の変化を体感することではないかと思う。

筆者紹介:水野好清