【第226号】時代錯誤

 ワリエワのドーピング問題など北京オリンピックをぼうっと見ていると、ウクライナをめぐってロシアが侵攻するのではという話題がクローズアップされ、遂に侵攻が現実となり連日のように報道されている。
 歴史を振り返ってみると、第一次世界大戦はドイツのベルギー侵攻から始まった。第二次世界大戦はポーランドへのドイツ・ソ連の侵攻から始まった。アメリカによるイラク戦争もあった。いずれにしても他国の領土に攻め入ることは悲惨な結果をもたらす。
 プーチン大統領の行動を見ると20世紀の米ソの冷戦が決着していなかったと考えざるを得ない。欧米とソ連対立は第一次世界大戦中の1917年のソ連の誕生から始まった。アメリカ大統領ウィルソンの14ヶ条により東欧諸国の独立が実現し、ソ連に対する防波堤となった。やがて第二次世界大戦後、米ソの対立が激化しドイツの分割も行われた。1945年NATOが誕生し、1955年にはワルシャワ条約機構が誕生した。ソ連の衛星国などという言葉も生まれた。1989年ベルリンの壁が崩壊し、1991年にはワルシャワ条約機構が解散し、
東欧諸国がロシア(ソ連)と決別していった。そして、今日旧ソ連のベラルーシやウクライナが欧米とロシアとの緩衝地帯として残った。
 我々も1991年から今日までロシア周辺で何が起こっていたのか関心を持たなかった。この30年の結果がウクライナ問題なのだろう。今後の結末は見えないものの早く終結し、平和が実現することを強く祈る。

筆者紹介:水野好清