【第196号】タバコの値上げ

 10月1日タバコが値上げされた。他にアルコールなども値上げされたようだが、コロナ禍のなか話題性は少なかったように思う。健康増進法が叫ばれるなか、タバコ税の確保との矛盾を感じざるを得ないのは私だけだろうか。

 ところで、タバコはアメリカ大陸原産で、大航海時代にヨーロッパにもたらされた。タバコのほか、ジャガイモ、トマト、トウガラシなど多くの農産物がヨーロッパや世界中に広まったのは高校の教科書にも記載されている。これらの産物のうち、イタリア料理で有名なトマトは当初観賞用として珍重され、料理に用いられたのは19世紀末になってからであり、日本では戦後になってからであろう。日本との関係では、ジャガイモは明治時代に本格的に普及した。それに比して、タバコは江戸時代にはすでに普及していたようで、日本での歴史は古い。それも、不思議といえば不思議である。

 私が就職したころ、デスクには灰皿が置かれ、考え事をしたり雑談する際にはモクモクと煙が漂っていた。上司から何か言われたときに、煙に巻くために大いに役立った。ドラマや映画でもモクモクは見慣れた光景だ。

 昨今、デスクにはノートパソコンが置かれ、黙々とパソコンに向かっている。もちろん、調べものをしたりその用途は様々なのだろう。しかし、息抜きであったり暇つぶしの場合もあるに違いない。いずれにしても、会話を避けるのに役立っているのではないかと思う。タバコ部屋で雑談をしたり情報交換をした時代が懐かしい。

筆者紹介:水野好清