【第144号】世界史

かれこれ40年近く世界史を教えてきた。

考えてみると、高校生のころ世界史に特別興味があった訳ではなかった。成績も良かった訳ではなかった。

それにもかかわらず、大学で西洋史を学びたいと思った。

きっかけは、和辻哲郎の『風土』にあったように思う。特に砂漠に住む人々に興味をもった。日本にはない風土。ある意味では、見知らぬ地域に関する興味が出発点であった。

大学では、イタリア中世史を専攻した。ルネサンスが花咲く前のフィレンツェ。商人の活動。やはり、見知らぬ地域。見知らぬ時代。

いずれにしても、世界史ではなかった。未だに世界史とは何か、よくわからない。昨今、グローバリゼーションが盛んなので、意味はあるのだろうが、世界史で教える内容とは違うのではなかろうかと思う。

高校から大学そして就職という道筋の中で、自分の興味・関心がどのように変質していくかは計り知れない。その中にあっても、自分の興味・関心はどこにあるのか問い続けることの大切さ。そのために学び続けることの大切さを改めて思う。

筆者紹介 : 水野 好清