【第138号】地図の見方

小学校以来、地図を見るとき、上は北という習性が身についている。同時に地図の中心は自分がいる場所と考えている。

先日、札幌の北海道博物館を訪れた。展示室に入ると左にナウマンゾウ、右にマンモスゾウの骨格標本が置かれていた。その時点では何気なく通過し、一連の展示室を見て、最後再びナウマンゾウとマンモスゾウの展示室に戻った。ふと足元を見ると、地図が描かれていた。よく見ると、行く手には北海道、ナウマンゾウの下には本州、マンモスゾウの下にはシベリア。そして、自分の足元には千島列島。

知らない地図ではないのだが、新鮮さを感じた。世界が全く違って見えた。

明治政府による北海道開拓以前、ずっと遡って、縄文時代の北海道の展示室には、土偶など長野県の考古館でもお馴染みの展示物が並べられていた。年表には茅野市の「縄文のビーナス」も掲載されていた。北海道の歴史はその後独自の発展を遂げるのであるが、時間のスケールを長くすると全く違った世界が見えてくる。

固定的な見方に風穴が開けられた気がして、北海道博物館を後にした。

筆者紹介 : 水野 好清