【第49号】同窓会資料室

同窓会の資料室の完成は、昭和53年(1978)12月。創立100年を記念して刊行された『深志百年』と、再刊された『松中深志90年史』の純益によってできた。深志高校図書館2階の北側の部屋で、約50平方メートル(15坪)の広さがあり、壁は木目、床はグリーンの絨毯が敷かれた。落ち着いた雰囲気の室で、同窓生の矢ヶ崎氏(松中67回卒)経営の矢ヶ崎建設によって創られた。六つの陳列棚には、小林校長関係のもの、学校・生徒会・自治寮などの関係書類や種々の記念品、西穂遭難関係のものなどが展示された。往時の机・腰掛などもあり、さらにまた同窓生の彫刻・絵画なども飾られた。相当貴重な資料もあり、教育関係者が見学に来ることもある。

資料室完成時の様子を、藤岡改造先生が、『深志同窓会会報』復刊第1号(昭和56年1月1日発行)に、以上のように紹介している。そして、最後に「まだまだ資料室としては十分なものではないから、本校関係のものがあったら、何でもいいから寄付してもらいたい」「絵画などの美術品についても」と。

それから36年が経った。カーテンはボロボロ、床の絨毯は埃だらけ。昨年度から、同窓会の中等教育資料管理委員会が、この資料室の本格的な整備に取り組んできた。今年の7月14日には展示ケースを配置し直し、スチール製の棚を8個入れ替えた。8月25日の作業では、資料室全体のレイアウトを考えながら、リニューアルオープンにむけて知恵をだしあった。困っているのは、「何でもいい」からと受け入れられている不明品と、「美術品」のいくつかである。提供者や作者がわからないのである。

松本中学、深志の貴重な資料が、よりよい環境で保存できるように、目録化して、これからの利用に備えたい。

筆者紹介 : 小松 芳郎