松本深志高校創立140周年記念事業で「志音会」の演奏会が開かれる。楽壇の第一線に立つ卒業生をソリストに迎え、管弦楽は「志音会オーケストラ」、合唱は「志音会合唱団」による。
普通科高校でありながら、質の高い大人数の音楽集団が形成される姿と実力。これこそが記念事業を紹介する広報誌に記された「深志が深志たる所以(ゆえん)」なのだろう。
深志の「志」と音楽の「音」を重ねて命名された。活動の本質や性格を表す名称として、これ以上のネーミングはあるまい。
在学中に音楽部に所属していた人をはじめ、現役生、思いを同じくする蜻蛉ら多くの有志が集う。音楽を心から愛し、音楽で命の力を表現しようとする人たちだ。プロの音楽家ばかりでなく、地域の合唱団の中心となって活躍する人も少なくない。母校の周年事業や年次会、OB会の折などに演奏を披露してきた。深志教育会館での「桜の宴」にも出演した。
演奏に出合うたびに感じる一体感は、同じ高校で過ごしたという共通項だけではないようだ。演奏者の志と音が一つになって初めて、聴く側の琴線に触れる楽章になる。奏でる人たちが響き合う調べを楽しもう。齢を重ねた身は青春の残響にひたって演奏を聴いていたい。