【第238号】深志の音楽活動と尚学塾『特別授業』所感

宮澤 光太朗(45回)
舞台演出家
フィガロビジネス株式会社

 1952年に「深志と音楽を志す者のグループ」として発足した「松本深志高等学校音楽部志音会」という団体の上演支援に私も25年ほど携わっております。深志の音楽部の卒業生と在籍者からなる会です。

 あいにく私の高校時代は、授業が終われば踊りの稽古ばかり。実は3年間一度も何の部活にも属さず、ために音楽部の現役生の活動のことも熱心に応援する機会のないまま卒業してしまいました。

 そんな私が「志音会」を初めてお手伝いしたのは大学4年の1996年。深志創立120周年を迎え、志音会もこれを祝い長野県松本文化会館でベートーヴェンの交響曲第9番など演奏した折です。

 なぜ高校を卒業して4年も経つ(音楽部OBでもない)私がこの上演を手伝うことになったかというと、父の同級生であった志音会員の吉野恵美子先生(18回卒)から、舞台の演出・進行の支援をご相談いただいたのです。

 「第9」はご存じの通り大勢の合唱団が管弦楽と共に第4楽章で歌います。全国から意気軒高に集まる合唱団は大変な人数になることがわかり、それを整列させ登壇降壇させるだけでも大仕事。そこで日頃から舞台の演出や振付をする私に吉野先生が白羽の矢を立てて下さった、という経緯で私は志音会と縁を得ました。

 飯沼信義先生に楽曲分析を教わるリッチな歌唱練習を満喫させていただきつつ、同時に私が痛感したのは、誠に深志は男子ばかりの学校で、ゆえに卒業生もどうしても男性ばかり多いなぁ、という当然といえば当然の嘆きでした。

 今回「尚学塾」の企画として「特別授業」を担当させていただき、現場で私が他の何よりも目を見開いたのは、男女の生徒数が本当に、正真正銘の同割合になった、ということです。数字としては、既に小耳に挟んだことはあったのですが、聞くと見るとでは大違い、でした。

 われらが母校が、自分たちの在学中より一回りも二回りも逞しい学校に、鮮やかに変貌を遂げていることに改めて感慨を受けました。ここまでに先生方・先輩方が苦心して工夫を重ねてくださったことに、心から感謝の気持ちが湧くのを感じました。

 自分の講義に大勢の生徒さんが集まってくださったのも大感激でした。心より感謝申し上げます。

筆者近影、やや盛り気味