【第234号】企業内起業(ベンチャー)の成功と失敗

岡部 秀也(24回)
セリングビジョン株式会社 代表取締役社長

 私は、電力系企業内ベンチャーを都心で20年間経営し続けている経験をもとに、起業ノウハウ、起業の成功・失敗の実体験を含めて昨年11月に講義をさせていただきました。令和4年には、ちょうど深志の先輩に誘われ、中央アジアのウズベキスタン国のJICA(国際協力機構)関係で電力経営指導コンサルに3回もビジネス出張したり、日本百名山を完登し「電気のふるさと百名山」(再エネ再発見)を出版したばかりだったため、特に若い後輩らにはグローバルビジネスを目指しイノベーションをし、登山を例にリスクテイカーとしてチャレンジをすべきと鼓舞しました。

 57名の1年生の後輩諸君には熱心に傾聴いただき、礼儀もよかったです。女子学生らが、前列にすわり起業に興味津々で鋭い質問をいただいことが印象的でした。私の高校時代には「学生運動の影響で喧騒感があり、バンカラ個性型が多かった」(恩師)ので、先生方にとって扱いくい年次だったかもしれません。その分、いまも同窓会仲間のつながりが深いです。今回久々に母校に足を踏み入れ同窓生と教室、講堂等を周りましたが当時の校舎も変わらず息づいて懐かしく、かつてにフラッシュバックした思いです。

 後輩については、今の礼儀良さ、真面目さにプラスして、今後は自分でさらに考え、仲間を一生大切にして行動し、自治の精神で稼ぎ自活するため起業を目指すことも考えて欲しいと思います。起業講義では、具体的ケースやノウハウも話したため、私の思い(Selling Vision=深い志を顧客に提供し続ける)はある程度伝わったと思います。

 私の高校時代は、卓球部に3年間所属し、多くの先輩から「まず体力をつけ次に勝ち方を考えろ。勝っても負けても礼儀を忘れるな」と叱咤激励され、今のような暑い夏場も毎日8キロランニングと激しいうさぎ飛び練習でくたびれつつも、主将も務め後輩にバトンを渡しました。1年間の深志図書館二階の宅浪を含め深志には4年間も恩師、先輩、同期仲間らにお世話になり感謝しております。おかげでお盆時期も深志懇談の機会が多く、リラックスしつつ皆さまから元気をもらっています。

 深志では、自分で考え、行動し、好きなことを探し最大限の努力をして、途中で簡単には諦めないことを学んだような気がします。とくに授業の英語や世界史の先生方には欧米流の合理的な思考やヘロドトス流の歴史学もうかがい、海外MBA留学を志す契機となり、いまの起業家としての「生涯現役」路線につながっています。

 母校にはそうした自治の精神、自立の伝統、特色ある授業を残し、さらに進化してほしいものです。

2列目左から4人目が筆者