【第172号】圧倒的な自然の力を前にして

10月10日、深志教育会館で復刊26号を発行するための会報部会が開かれた。大きなテーマは、10月12日に予定されていた尚学塾が開催されるか否かで、紙面構成をどうするかであった。部会が終わり、隣のスペースでは尚学塾で講演される21回生の方々が対応を協議されていた。「現役の生徒が来なくても、21回生を中心に実施する方向」とのこと。

結果的に学校が休校となった。そば祭りをはじめとする様々なイベントが中止となり、千曲川の決壊など多くの被害の状況を考えると、致し方ないと思うが、21回生の方々の思いには敬服の至りである。

それにしても、昨今ニュースで報道されるお粗末な出来事には怒りや愚かさを感じる。例えば、神戸の小学校での教員間のいじめ事件。それをパワハラとする言動。幼い子供への親の虐待。あおり運転。数えればきりがない。

自然の圧倒的な力の前で無力な人間は、それでも自然の力に抵抗する不屈の精神と真摯な営みを行ってきた。この人類のあゆみをどこかに置き忘れ、人間の作り出したさまざまな装置のなかに埋没している愚かな人間の姿が浮かび上がる。

雨にも負けず誠実に自然と向き合ってきた人間の姿、とりわけ農民の姿を思い出すきっかけとなった台風19号であった。

筆者紹介 : 水野 好清