【第147号】同窓会定時総会での特別講演

昭和62年(1987)1月発行の『深志人物誌』には29人が紹介されている。「深志城下の学窓を巣だって、学問・芸術・政治・経済等の各分野で活躍し、偉大な業績をのこした同窓生、その人物を生き生きとわかりやすく描く本書をとおして、これらの人々の神髄に触れ、改めて先輩の遺された価値ある足跡を、同窓生一同に認識していただければ幸甚」という方針のもとに編まれたものだ。

この9月29日の同窓会定時総会特別講演で、「松中・深志の群像」という演題で、わたしがお話させていただいたが、この方針を意識して、つぎの15人について話をした。

木下尚江(自由で平和な社会を目指す)、井口喜源治(精魂込めて人格教育)、加藤正治(旧制松高の誘致に一役)、上条信(地域の交通網発展に奔走)、山本一蔵(社会主義への道一直線に)、丸山恒人(郷土の産業発展に尽力)、小岩井浄(社会改革に心血注ぐ)、犬飼哲夫(北方動物研究の権威)、増田甲子七(大臣歴任、吉田政権支える)、和合恒男(農本主義教育を実践)、永田広志(日本哲学史に足跡残す)、古田晁(筑摩書房設立の出版人)、池田三四郎(松本民芸家具生みの親)、飯沼正明(飛行時間の世界記録樹立)、上原良司(1人の自由主義者の死)。

まさに、松本城下二の丸にあった松本中学校での5年間の学びになかで、友と出会い、師と出会い、その後の人生を歩んでいった人たち。それぞれの時代のなかでの先輩たちの生き様を知ることは、今を生きる私たちに、様々なことを考えさせてくれる。

同窓会に寄贈された河出書房新社の猪熊建夫著(74歳)『名門高校100 時代をリードする人物はここから巣立った』(平成30年9月5日発行)のなかで、「刻苦勉励を尊ぶ校風が、優れた学者を輩出 松本深志高校」と、4頁で55人を紹介している。今回の講演でわたしが紹介したなかでは、木下尚江、古田晁、増田甲子七、池田三四郎の4人が入っていた。

筆者紹介 : 小松 芳郎