【第10号】ゴルフ余情

同期生が集うゴルフコンペが東京でも開かれるようになった。今回は関東在住の仲間に松本地方からの遠征組を加えた総勢15人によるラウンドだった。卒業から既に44年。それぞれの容姿に等しく刻まれた歳月を、グリーン上であらためて実感した。

プレーも、在学中1度も言葉を交わさなかった同輩との会話も楽しかった。いわゆる「19番ホール」は、1年生のときの同級生が経営する銀座の飲食店で盛り上がった。高校時代の尽きることのない思い出と一緒に、酒精が体内を駆け抜けた。

ゴルフ会の幹事を務めた経験のある人には、苦労がよく分かるはずである。会場確保に始まり、出欠のとりまとめ、組み合わせやスタート順、名簿づくりと、頭と気を使わなければならない。

案内から日をおかずに来る返信は嬉しい。それも「参加」の方にマルが付いていればなお嬉しい。時間に余裕をもって会場入りする人、現地徴収の会費を財布からすぐに取り出す人も幹事に好かれるプレーヤーだ。

現役時代は遊びの場面でも肩書や地位を背負っていた。時計と名刺を持たずにボールを追ってこそゴルフの醍醐味がある。東京のゴルフ会ではその魅力と魔力に魅せられた大学教授が幹事を担っている。

筆者紹介 : 伊藤 芳郎