【第240号】3年生秋の学年クラスマッチ!

関 大輔(25回)
出光興産 元代表取締役副社長

 この度卒業50周年記念行事で深志1年生の皆さんに講義をさせて頂く機会を頂きました。講義の準備に当たり深志当時の記憶を振り返る中で、深志の自治を象徴するような出来事を思い出しました。それは3年生秋の学年クラスマッチ決行の思い出です。

 たしか当時は全校クラスマッチの他に、1、2年生は春と秋に学年クラスマッチを行い、3年生は春のみ実施が恒例となっていました。3年生は9月の「トンボ祭」が終わると受験準備に集中しなければならないからです。ところが「トンボ祭」の後、我々の学年の中で誰からともなく「もう一度学年クラスマッチをやろう」という声が出始めました。私を含め、勉強嫌いのケシカラン連中は大賛成。が、当然先生方は猛反対。私の担任の先生も「一体何を考えているんだ!」と怒り心頭。結局、正式な許可が無いまま当日を迎えました。

 さて学年クラスマッチの当日朝、校庭には確か100人くらいの悪童?が朝礼台の前に整列、何とそこにスポーツウエアの先生方が数名出てこられました。我々は「さすが話の判る先生も居るな」と大喜び。朝礼台に主催者代表の碓井(7組)が上り「本日は主催者側発表で360人参加(水増し!)」などと挨拶、碓井から突然指名された田中(3組)が「我々は若者が持つ無限の可能性に向かって・・・」と即興で選手宣誓し、大盛り上がりの一日となりました。

 しかし今考えてみると、あの日出てこられた先生方は、学校としては認めていないものの100人もの生徒達が競技することによる怪我など不測の事態も想定し、見ておく必要があるとのお考えだったのではないでしょうか。能天気な我々はそのことに気付かず「あの先生は話が判る」などと勘違いしていましたが。

 20代、30代の若い先生方が、校則という拠り所を持たずに不安定な年代の生徒達を預かり、問題が発生すれば一人の人間として対応していく。企業であればゾッとするようなリスクです。深志の自治が先生方の相当のご負担によって支えられてきたことが、企業人・組織人としての経験を経た今になって初めて分かりました。当時の悪童として恥じ入るばかりです。

 改めて深志の自治を支えておられる先生方のご苦労を想い、エールを送りたいと思います。

楽しかったクラスマッチ。スパイクする筆者。