【第250号】深志で学んだ、壁を越える力

竹田 正信(47回)
株式会社マネーフォワード 取締役執行役員
ビジネスカンパニーCOO

先日、松本深志高校にて、尚学塾「特別授業」を担当させていただきました。
教室で向き合った現役高校2年生のまなざしに、かつてこの場所で夢を描いていた自分の姿が重なり、胸が熱くなりました。貴重な機会をくださった同窓会の皆さまに、心より感謝申し上げます。

私の原点は、深志高校のバレーボール部にあります。
中学時代は思うような成果を残せませんでしたが、深志に入ってからもう一度、バレーに挑戦しようと決めました。
当時、県ベスト4の強豪として知られた深志バレーボール部での毎日は、自分の実力の差を痛感する日々でした。
技術も経験も足りず、自然とレギュラーメンバーの練習補助や雑用を担うことが多くなり、自分の存在意義を見失いそうになることもありました。

そんなある日、先輩に言われた一言が胸に突き刺さります。
「お前、一人だけ本当に下手なの、わかってる?」
その瞬間の悔しさが、私にとって大きな転機になりました。
「せめてレシーブだけは誰にも負けない選手になる」――そう決めて、放課後も休日も、時にはイメージの中でもひたすらボールを追い続けました。

そして迎えた春高予選のメンバー発表。
最後の12番に「竹田」と呼ばれた瞬間、世界が少しだけ変わりました。
そのあと、あの先輩がかけてくれた「この一年で一番成長したのはお前だよ」という言葉は、今でも私の心の支えです。

あの経験で得た「やればできるという確信」は、社会に出てからの歩みを支える原動力であり続けました。

恵まれた条件がなくても、仲間と戦略で道を拓く。その姿勢は、まさにあのチームで学んだものでした。
どんな難題も、仲間と力を合わせれば越えられる。私はその奇跡を、今も信じています。

人生では、自分の力のなさを痛感する瞬間が何度もあります。
でも、その「できない悔しさ」こそが、未来を切り拓く一歩になります。
恐れずに挑戦を続けること。
志を共にする仲間と共に、夢に向かって歩むこと。
その先には、きっと自分の人生を支える、なにか大切なものが待っているのだと、あの頃の経験が教えてくれました。