【第202号】1920年代

 100年前スペイン風邪が猛威を振るった。1918年1月にアメリカに始まった正体不明のインフルエンザは世界で6億人が感染し、死亡者は5000万人とも1億人とも言われている。日本で全人口の約半数が感染し、39万人が死亡した。第一次世界大戦が終結したのは1918年11月なので、大戦末期から戦後にかけてスペイン風邪の猛威は続いた。
 当時の日本の状況をみると、1923年に10万人の死者を出した関東大震災が発生し、その社会的インパクトの大きさから、インフルエンザの記憶は打ち消された感がある。長野県においても、大正池ができた1915年の焼岳噴火の印象のほうが大きい。
 ところで、第一次世界大戦後アメリカでは大衆社会が出現し、モータリゼーションを中心に未曾有の好景気に突入した。中産階級までも株に投資し、のちの世界恐慌の一因となる。一方、ヨーロッパでは、戦後の混乱による不況のなかにあり、1924年にはイタリアにムッソリーニのファシスト政権が誕生している。さらに、大戦末期に誕生したソ連は五か年計画を行い封鎖経済に突入した。国際連盟の誕生や1928年不戦条約はあったものの1930年代以降の悲惨な状況が準備されていた。
 いま、コロナ禍は収まりそうもない。スペイン風邪の要因が鳥インフルエンザ由来であることが確認されたのが1997年であることを考えると、終息には一定の時間がかかるであろう。日々の暮らしを生き抜くのに精一杯ではあるが、アメリカ議会の混乱や実体経済からかけ離れた株価の高騰のニュースを耳にするとあまりいい気はしない。やはり、ステーキを食べて喜んではいられない。

筆者紹介:水野好清

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