【第150号】日本海は地中海

最近、アイヌについて興味をもって色々調べている。アイヌは北海道を中心に東北地方北部からサハリン、千島列島、さらに中国東北部までかなり広範囲に活動領域をもっていたことが分かってきた。

この地域に興味をもって地図を眺めてみた。すると、サハリンの北部が大陸と接近していることに気づいた。正確ではないが、25kmほどの距離にある。かなり近い。大陸側の出口には、アムール川の出口がある。

アムール川は中国名を黒竜江といい、ネルチンスク条約(1689年)からアイグン条約(1858年)北京条約(1860年)に至るロシアと清との国境問題の舞台となった場所であり、世界史を勉強した人にとってはお馴染みの名前である。

改めて、地図を見ると日本海は朝鮮半島、日本列島、サハリンそして大陸に囲まれた地中海であることに気づく。今更という感はあるが、日本に住んでいると北は北海道、南は沖縄しか見ない習慣が出来上がっている。さすがにサハリンまでは目がいかない。

かつて、ローマ帝国は地中海を中心にアフリカ北部にまたがる文化圏を築いた。地中海世界という。アイヌによるかなり広がりをもった文化圏がかつて北海道を中心に形成されていたことを知ることによって、新たな発見ができたような気がする。

筆者紹介 : 水野 好清