【第130号】苧(からむし)

元日、吉野ケ里遺跡を訪れた。入園ゲートでは、太鼓の演奏に迎えられ、振る舞い餅まで頂いた。訪問客も少なからずいた。初詣だけが正月の光景ではないことを知った。

吉野ケ里遺跡は、弥生時代を代表する遺跡である。竪穴式住居が復元された一角に当時の暮らしを知らせる展示コーナーがあり、養蚕が行われていたことをボランティアガイドの方が解説してくれた。弥生時代に絹織物が存在したことは特筆することであろうが、隣の「苧(からむし)」に目がいった。

「苧」は、木綿以前の代表的な衣服の材料であり、絹織りよりも一般的であった。元々、木綿以前の衣服の材料に興味を持っていたので、この「苧」という語には親近感を覚えた。

実は、「苧」との出会いは、札幌近郊のアイヌ民族資料館であり、「苧」で作った服も展示されていた。札幌で見た語を九州の吉野ケ里で目にするとは思いもよらなかった。そもそも「苧」の読みもままならない語であり、その実態もよくわからないものである。

これも何かの因縁かと早速ネットで調べてみた。

イラクサ科の多年生植物。東南アジアから日本を含む東アジア地域まで広く分布し、古くから植物繊維をとるため栽培された。更に、なんと国税庁のホームページに、鎌倉時代や室町時代、そして江戸時代に盛んに取引された青苧(あおそ)という商品。生産地としては越後が有名で、15世紀後半になると、越後の守護上杉氏の下で云々。

日本史は、高校生のとき挫折して以来真面目に勉強したことはない。日本国内の色々な地を訪れると何らかの疑問に出会う。そんな勉強の仕方もあるのかと最近思っている。

筆者紹介 : 水野 好清