【第64号】尚志社の灯

穂苅甲子男さんを追悼する「お別れの会」と「偲ぶ会」が開かれた。深志同窓会長を務め、かつてあった自治学寮「尚志社」で過ごした関係者の集まりである尚志社同人会の事務局も担った。

生前語った尚志社での日々の一端が「お別れの会」に配られた冊子に載る。

午前5時に起床した。掃除のあと1時間の自習。円陣をつくって本を読む「輪講」が行われた。週末の夜の「土曜会」には、学校の先生を招いて話を聞いた。授業では聞かれないような話が飛び出す集いが楽しみだったという。

先輩は後輩に礼儀作法を教える。寝食を共にしての寮生活は楽しく、みんな兄弟のようだったと振り返った。

学寮精神と学びの伝統は「尚学塾」に姿を変えていまに至る。「志高く、大きな夢と希望を持ってほしい。未来を担う若い諸君に期待したい」。尚学塾の開塾式で穂苅さんはこう語りかけた。

ゆかりの地に建つ深志教育会館で、夜桜を愛でるとんぼたちがいた。卒業年次を超えた語らいだった。創立140周年に向かう母校にあって、尚志社の灯はさまざまな形で受け継がれていく。往時の蜻蛉群像を思い、記憶を宿して年々歳々咲いては散る花影を見上げた。

筆者紹介 : 伊藤 芳郎

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