【第30号】ゴルフとんぼ

松本地方のゴルフ場には、母校OB・OGの集う愛好家グループがそれぞれにある。その集まりの一つが発足10年の節目を迎え、このほど記念コンペを開いた。

世界を舞台に仕事をした人も、一隅を照らし続けた人も、楽しさを体感するひとときを共有する。定例会は春と秋の2回。「ゴルフを通じて心技体を育み、ゴルフ道の継承を」と設立趣意書にある。実は互いに顔を合わせても交流する機会があまりなかった。気軽に挨拶できるように、と始まった。

ラウンド終了後の「19番ホール」でも名刺交換や肩書呼びはしない。先輩、後輩の別なくプレーとマナーを実践する。カントリークラブは本来そうであるべきなのに、人は組織の中で生きてくると上目遣いや揉み手が習い性になってしまうのだ。

他人に不快を与える言動を慎む。傲慢な態度もよろしくない。ゴルフが紳士のスポーツといわれるゆえんである。スコアは天のさじ加減と心得て、端麗に楽しみたい。

たかが10年、されど10年。姿を見せなくなった大先輩に代わり、年齢の離れた後輩が同好の輪に加わった。同窓会ロマンとゴルフライフは、セカンドステージを流れる歳月によって熟成されていく。

筆者紹介 : 伊藤 芳郎